Hash Ribbons(ハッシュリボン)は、ビットコインのマイニング業界における収益性の悪化と回復を、ハッシュレートの移動平均線のクロスによって検出する指標である。採算が取れなくなったマイナーが撤退する「マイナー降伏」のタイミングを捉え、過去のサイクルでは底値圏に近いシグナルとして機能してきた。

計算の仕組み

使用する移動平均 ハッシュレートの30日移動平均(短期)
ハッシュレートの60日移動平均(長期)

マイニング難易度の調整周期に合わせて、短期と長期の2本の移動平均線を比較する。短期線が長期線を下回ると、採算割れによりマイナーが撤退している「降伏」局面とみなし、その後再び短期線が長期線を上回ると、撤退が一巡し業界が回復に向かっている「回復」局面とみなす。

シグナルの発生パターン

01
降伏局面の開始:短期移動平均が長期移動平均を下回り、採算の悪いマイナーの撤退が始まる。
02
底打ちの形成:撤退が進み、残ったマイナーの採算が相対的に改善していく。
03
買いシグナル点灯:短期移動平均が長期移動平均を再び上回ったタイミングで、回復局面入りと判定される。

過去サイクルでの実績

2018年や2022年のベアマーケット末期において、Hash Ribbonsの買いシグナルが点灯したタイミングは、結果的にその後の価格回復局面に近い時期と重なった。マイナーの採算は電気代やマイニング機材の価格、難易度調整など複数の要因に左右されるため、価格そのものとは異なる切り口から市場の底打ちを推測できる点が特徴だ。

他の指標との関係 Hash Ribbonsはマイナー側の供給圧力に着目した指標であり、需要側を見る取引所ネットフローや、市場参加者の損益状況を見るMVRV-Z・NUPLと組み合わせることで、より立体的に市況を把握できる。

限界と注意点

Hash Ribbonsはハッシュレートというマイニング業界側のデータに依存するため、価格そのものの動きとはタイムラグが生じることがある。またシグナル点灯後も価格が一時的に再下落するケースも過去には見られており、単独のシグナルだけで売買判断を下すのではなく、複数の指標を組み合わせて確認することが望ましい。

本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではない。本記事に含まれる過去のサイクル傾向に関する記述は、将来の値動きを保証するものではない。