NUPL(Net Unrealized Profit/Loss、純未実現損益)は、市場全体が現在抱えている含み益または含み損の総量を時価総額に対する比率で示す指標である。市場参加者全体の心理状態を5つのフェーズに分類して捉えられる点が特徴で、MVRV-Zと並んでオンチェーン分析の基礎指標として広く使われている。

計算式

NUPL (時価総額 − 実現時価総額) ÷ 時価総額

分子はMVRV-Zと同じく時価総額と実現時価総額の差だが、NUPLでは標準偏差ではなく時価総額そのもので割ることで、−1から1の範囲に収まる比率として表現する。プラスであれば市場全体が含み益、マイナスであれば含み損の状態にあることを意味する。

5つのフェーズ

Euphoria0.75以上
市場全体が強い含み益を抱え、過度な楽観に傾きやすい局面。過去のサイクル天井付近で記録されることが多い。
Belief0.5〜0.75
含み益が拡大し、強気相場が定着しつつある局面。トレンドフォロー型の参加者が増える傾向がある。
Optimism0.25〜0.5
含み益はあるものの、まだ慎重な見方が残る局面。サイクル序盤〜中盤でよく見られる。
Hope0〜0.25
含み益がわずかに残る、もしくは含み損益がほぼ均衡した局面。底値圏からの回復期に見られやすい。
Capitulationマイナス圏
市場全体が含み損を抱える局面。過去のベアマーケット底でこの水準まで落ち込んだ実績がある。

MVRV-Zとの使い分け

MVRV-Zは標準偏差で正規化しているため、サイクルをまたいだ過熱度の比較に向いている。一方でNUPLは−1から1という分かりやすいスケールに収まるため、現在の市場参加者がどれだけ利益や損失を抱えているか、心理状態を直感的に把握したい場合に適している。両者は同じ実現時価総額のデータを元にしているため、基本的には似た動きを示すが、正規化の方法が異なるため、極端な相場では数値の出方に差が生じることがある。

読み方の注意点 NUPLは市場全体の平均的な含み損益を示すものであり、個々の保有者の損益状況を直接表すものではない。長期保有者と短期保有者を分けて見るLTH-NUPL・STH-NUPLという派生指標も存在する。

限界と注意点

NUPLも他のオンチェーン指標と同様、過去のサイクルで機能した水準が今後も同じように機能する保証はない。特に機関投資家の参入や ETF経由の資金流入が増えた近年のサイクルでは、市場参加者の構成が以前と異なるため、過去の閾値をそのまま当てはめる際には注意が必要だ。

本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではない。本記事に含まれる過去のサイクル傾向に関する記述は、将来の値動きを保証するものではない。