ストック・トゥ・フロー(Stock-to-Flow、S2F)モデルは、既存の流通供給量(ストック)と年間新規発行量(フロー)の比率から、資産の希少性を定量化し、価格との関係性を分析するモデルである。金や銀といった希少資源の価値分析に用いられてきた手法をビットコインに応用したものとして、一時期広く注目を集めた。

計算式の考え方

S2F比率 既存の流通供給量 ÷ 年間新規発行量

半減期によって新規発行量(フロー)が段階的に減少するビットコインは、S2F比率が時間とともに上昇していく設計になっている。S2Fモデルでは、この比率の上昇と将来の価格水準との間に統計的な関係があるという仮説のもと、将来価格の予測が試みられてきた。

過去サイクルでの予測精度

2020年前後のサイクルでは、S2Fモデルが示す価格推移と実際の値動きが比較的近い軌道を描いた時期があり、モデルへの注目度が高まった。しかしその後のサイクルでは、モデルが示す予測価格と実際の価格との乖離が拡大し、予測精度への疑問が指摘されるようになった。

モデルが乖離した理由と現在の評価

S2Fモデルは供給面のみに着目したモデルであり、需要側の変化(機関投資家の参入、マクロ経済環境、規制動向など)を考慮していない点が限界として指摘されている。現在では単独の予測モデルとして過信するのではなく、サイクルの大まかな位置づけを把握する参考情報の一つとして扱うのが一般的な評価となっている。

本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではない。本記事に含まれる過去のサイクル傾向や分析手法に関する記述は、将来の値動きを保証するものではない。