ボラティリティドラッグとは、価格変動率(ボラティリティ)が高い資産において、上昇と下落を繰り返すことで、見かけ上の値動きの平均よりも実際の累積リターンが目減りしてしまう現象を指す。レバレッジをかけた商品ほど、この影響が大きく現れる点に注意が必要だ。

メカニズムの基本

例えば資産価格が1日目に+50%、2日目に-50%動いたとする。算術平均では変化率は0%だが、実際の累積リターンは1×1.5×0.5=0.75となり、25%の元本減少が発生する。このように上昇率と下落率が対称的でも、複利計算の性質上、累積では資産が目減りするという現象がボラティリティドラッグである。

レバレッジ商品での増幅

2倍・3倍といったレバレッジをかけたETFなどの商品は、日々の値動きを倍率分だけ拡大して反映する設計になっていることが多い。これにより、原資産がボックス相場(上下に変動するが方向感のない相場)を続けるだけで、レバレッジ商品の価値が長期的に目減りしていく現象が起こりやすくなる。

Itô補正による期待リターンの考え方

幾何ブラウン運動における期待リターンの補正 期待成長率 ≈ ドリフト − (ボラティリティ² ÷ 2)

確率過程の数学(伊藤の補題)に基づくと、ボラティリティの2乗に比例した形で期待成長率が押し下げられることが示される。高ボラティリティ資産にレバレッジをかけて長期保有する場合、このItô補正によるドラッグが累積的に大きな影響を及ぼす可能性があるため、商品設計上の注意点として理解しておくことが重要だ。

本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではない。本記事に含まれる過去のサイクル傾向や分析手法に関する記述は、将来の値動きを保証するものではない。